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ローカルLLM比較2026|オープンウェイトモデルの​選び方

2026年8月更新。最新のオープンウェイトモデル一覧をライセンス・コンテキスト長・GPU要件で比較し、推論基盤の選び方、TCO試算、クラウドAPIとのハイブリッド設計まで導入判断の軸を整理します。

··FDX株式会社 編集部·監修: 佐藤 拓哉(生成AI協会 理事)

要点(100字):ローカルLLMは​ガバナンス・コスト・レイテンシの​3軸で​選ぶ。​2026年8月時点で​モデルは​1T超の​フラッグシップと​単一GPUで​動く​30B級に​二極化した。​企業が​自前で​回せるのは​後者で、​クラウドAPI併用の​ハイブリッド設計が​定石。

本記事は定期的に更新しています(最終更新:2026年8月26日)。

この​​記事の​​対象読者


ローカルLLMが​​必要な​​3ケース

ローカルLLMは​クラウドAPIより​構築・運用が​重い。​やみくもに​オンプレ化するのは​非効率で、​以下の​3ケースに​該当する​場合のみ​検討する。

ケース1:データ持ち出し禁止

クラウドAPIでも​Enterprise契約​(データ学習除外 / ログ保存制御)で​カバーできる​ケースが​増えたが、​規制上 "物理的に​データを​国外に​出さない​ / 自社管理下に​ない​環境で​処理しない​" 要件が​ある​場合は​ローカルが​必須。

ケース2:月数千万トークン超の​​長期運用

クラウドAPIは​従量制で、​月数千万〜数億トークンを​継続的に​消費する​業務​(社内ナレッジ検索 / 大量文書要約 / 24hチャットボット)では、​3〜5年TCOで​ローカルLLMが​ペイする​ことがある。

損益分岐の​目安:月1億トークン × 12ヶ月 = 年12億トークン消費の​業務で、​$200K超の​クラウド支出 → 自前GPUクラスタ​(H100×4〜8台)が​選択肢に​なり始める。

ケース3:サブ秒レイテンシ要求

クラウドAPIは​通信遅延 + キュー待ち + 生成時間で​1〜3秒かかる。​サブ秒要求の​業務には​ローカルLLMが​必須。


主要オープンウェイトモデル一覧​(2026年8月時点)

パラメータ数・コンテキスト長・ライセンスは、​各モデルの​公式モデルカードで​確認した​値を​記載する。掲載順は規模順で、優劣ではない。

モデル提供元パラメータ​(総/アクティブ)コンテキスト長ライセンス商用利用種別
Kimi K3Moonshot AI2.8T / 104B​(MoE)1,048,576Kimi-K3 License​(独自)△(条項確認)マルチモーダル
Qwen3.8-2.4T-A95BAlibaba2.4T / 95B​(MoE)262,144​(最大1,010,000)qwen3.8-max​(独自)△(条項確認)テキスト
DeepSeek-V4-Pro-0813DeepSeek1.7T​(MoE)100万トークン級MITテキスト
GLM-5.2Z.ai​(智譜)753B​(MoE)1,000,000MITテキスト
DeepSeek-V4-Flash-0731DeepSeek304B​(MoE)100万トークン級MITテキスト
Mistral-Small-4-119B-2603Mistral AI119B / 6.5B​(MoE・128エキスパート中​4活性)256,000Apache 2.0テキスト
gpt-oss-120bOpenAI117B / 5.1B​(MoE)Apache 2.0テキスト
llm-jp-4-33b-thinking国立情報学研究所33B​(Dense)65,536Apache 2.0テキスト​(日本語重視)
PLaMo 3 NICT 31BPreferred Networks31B​(Dense)PLaMo community license△​(事前登録+年商要件・後述)テキスト​(日本語重視)
Gemma 4 31BGoogle30.7B​(Dense)256,000Apache 2.0マルチモーダル
Muse Glimmer 30BMeta29.6B​(Dense・視覚エンコーダ含む)131,072以上Apache 2.0マルチモーダル​(入力)
Qwen3.8-27BAlibaba27B262,144​(最大1,000,000)Apache 2.0マルチモーダル

2026年8月の​​更新点​(6月版からの​​差分)

1. ライセンスの潮目が変わった。「米国系は​制限的、​中国系は​寛容」と​いう​2026年前半までの​通念は、​もう​成り​立たない。​Metaは​Muse Glimmer 30Bを​Apache 2.0で​公開し、​Llama Community Licenseの​独自条項から​離れた。​Googleの​Gemma 4も​Apache 2.0で、​Gemma独自規約の​制約は​外れている。​逆に​Alibabaは​フラッグシップの​Qwen3.8-2.4T-A95Bを​独自ライセンス​(qwen3.8-max)で​出しており、​同社の​27Bが​Apache 2.0であるのと​対照的だ。ベンダー名でライセンスを推測せず、モデル単位でライセンス欄を読むこと。

2. 規模が二極化し、中間が消えた。 1T超の​フラッグシップ​(Kimi K3 2.8T、​Qwen3.8 2.4T、​DeepSeek-V4-Pro 1.7T)と、​単一GPUに​載る​27〜33Bクラスに​割れている。​2026年前半に​主戦場だった​70B〜235Bの​中間帯は、​選択肢が​薄い。企業が自社設備で現実的に回せるのは後者だけである​(次項の​VRAM試算を​参照)。

3. コンテキスト長は100万トークン級が上位の標準になった。 ただし長文脈は​KVキャッシュが​VRAMを​食う​ため、​「1M対応」と​「1Mを​業務で​常用できる」は​別物である。

4. マルチモーダルが上位モデルの既定になった。 Qwen3.8-27B、​Gemma 4 31B、​Muse Glimmer 30B、​Kimi K3は​いずれも​画像入力に​対応する。​テキスト専用前提で​設計すると、​後から​差し替えが​必要に​なる。

5. 日本語特化モデルはライセンス条件を必ず読む。 国立情報学研究所の​llm-jp-4-33b-thinkingは​Apache 2.0で​制約が​無い。​一方、​Preferred Networksの​PLaMo 3系は​PLaMo community licenseで、商用利用にはPFNへの事前登録が必要であり、かつ利用者または利用者の関係会社の年商が10億円を超える場合は別途PFNから商用ライセンスを取得する必要がある。​エンタープライズ用途では、​この​年商要件で​ほぼ確実に​別契約側に​該当する。​検証で​使えたからと​いって本番で​同じ​条件では​使えない​典型例である。

本記事のライセンス記述は2026年8月26日時点で公開条文を確認したものである。 条文は​改定される​ため、​採用判断では​必ずライセンス原文の​最新版を​確認し、​自社法務の​レビューを​通す​こと。​本記事の​記載を​法的助言と​して​用いない​こと。

モデル選定ポイント

2026年6月時点の主要オープンウェイトLLM比較マトリクス

※上図は​2026年6月時点の​主要モデルを​商用利用​容易さ×​日本語性能で​プロットした​もの。​ライセンス状況は​上表の​8月時点の​値が​最新である。

規模から入らない。 2.8Tの​モデルは、​FP8でも​重みだけで​約2.8TBの​VRAMを​要する。​H200​(141GB)​換算で​20枚超であり、​これは​自社オンプレの​話ではなく​データセンター事業の​話に​なる。フラッグシップ級は「APIで使う対象」であって「自社で建てる対象」ではないと​割り切るのが​実務的だ。

単一ノードで完結する境界は概ね120B級。 Mistral-Small-4-119B​(アクティブ6.5B)や​gpt-oss-120b​(アクティブ5.1B)は、​総パラメータこそ​100B超だが​MoEで​アクティブが​小さく、​推論コストは​実効的に​軽い。​ただしMoEは全エキスパートの重みをVRAMに載せる必要があるため、​必要VRAMは​アクティブ側ではなく​総パラメータ側で​見積もる。​ここを​取り違えると​調達を​誤る。

ただし配布形式が低精度なら要件は下がる。 gpt-oss-120bは​MoEの​重みが​MXFP4で​後訓練されており、​公式モデルカードは​80GB GPU 1枚​(H100や​MI300X)で​動作すると​明記している。総パラメータからの機械的な計算と、実際の配布形式は別物なので、​必ず​モデルカードを​確認する​こと。

業務で最も現実的なのは27〜33Bクラス。 Qwen3.8-27B / Gemma 4 31B / Muse Glimmer 30B / llm-jp-4-33b は​いずれも​Apache 2.0で、​FP8なら​48GB級の​GPU 1枚に​収まる。​多くの​社内ユースケース​(要約・分類・抽出・​一次回答)は​この帯で​足りる。

MITとApache 2.0は実務上ほぼ同等に扱える。 DeepSeek系と​GLM-5.2は​MIT、​上記30B級は​Apache 2.0で、​いずれも​商用利用・改変・再配布に​制限が​無い。​独自ライセンス​(Kimi-K3 License、​qwen3.8-max、​PLaMo community license)​のみ、​法務レビューを​通す。

日本語性能は公表ベンチマークで決めない。 モデルの​入れ替わりが​四半期単位で​起きており、​2026年8月時点で​「日本語なら​これ」と​言い​切れる​定説は​無い。自社業務の評価セット(500〜1,000サンプル)を作り、候補3つを実測して決めること。​この​評価セットは​一度​作れば​次の​モデル更新でも​再利用でき、​モデル選定を​継続的な​作業に​変えられる。


推論基盤の​​選択肢

vLLM​(プロダクション運用の​​標準)

適用ケース:エンタープライズ本番運用 / トラフィック100req/s以上​ / 複数モデル並列ホスト

llama.cpp​(軽量 / オンプレ / CPU可)

適用ケース:オンプレ小規模 / エッジ / 開発者デスクトップ

TGI​(Text Generation Inference / HuggingFace公式)

適用ケース:HuggingFace既存ユーザー / モデル切り​替え頻度が​高い​検証環境

Ollama​(ローカル開発 / プロトタイピング)

適用ケース:PoC / 開発者個人環境 / デモ

SGLang​(高速化志向)

適用ケース:構造化出力ヘビーな​業務 / vLLMで​性能不足の​ケース


ハードウェアと​​コスト試算

GPU別の​​対応モデル​(FP8推論)

必要VRAMは総パラメータ数×約1バイト(FP8)が重みの下限で、​これに​KVキャッシュ・アクティベーション・推論基盤の​オーバーヘッドが​加わる。​長文脈を​常用する​場合は​KVキャッシュが​支配的に​なる​ため、​下表の​「対応モデル例」は​重み基準の​概算である。

GPUVRAM対応モデル例​(FP8・重み基準の​概算)価格(参考)
RTX 409024GB量子化した​20B級まで$1.6K〜
RTX 6000 Ada48GBQwen3.8-27B / Gemma 4 31B / Muse Glimmer 30B / llm-jp-4-33b$7K〜
H100 80GB80GB上記30B級を​長文脈で​ / 70B級 / gpt-oss-120b​(MXFP4配布の​ため80GB 1枚で​動く)$25K〜
H200141GBMistral-Small-4-119B​(1枚に​収まる)$30K〜
H200×4564GBDeepSeek-V4-Flash-0731​(304B)​級$120K〜
H200×81,128GBGLM-5.2​(753B)​級$240K〜
(参考)​1T超級1.7TB〜2.8TBKimi K3 / Qwen3.8-2.4T / DeepSeek-V4-Pro単一ノードでは​非現実的

1T超のフラッグシップは自社オンプレの検討対象から外してよい。 H200換算で​12〜20枚以上が​必要で、​電源・​冷却・ノード間接続の​要件が​データセンター設計の​領域に​入る。​これらは​APIまたは​マネージド推論で​使い、​自社に​建てるのは​30B〜120B級、と​いう​切り​分けが​2026年8月時点の​現実解である。

自社オンプレ vs クラウドGPU​(参考試算)

H100×4台構成の​場合:

3年運用での​TCO:

目安:24h 365日フル稼働なら​自社オンプレが​安い。​日中のみ​稼働なら​クラウドが​安い。

国内データセンター事業者の​​選択肢

国内DC要件​(特に​金融 / 医療)の​場合は​早期に​契約を​進める​必要が​ある。


クラウドAPIとの​​ハイブリッド設計

ハイブリッド構成図

完全ローカル化を​狙わず、ハイブリッドが定石

設計原則

要件ルーティング先
機微情報を​含む / データ持ち出し不可ローカルLLM
高難度の​推論 / 最新モデル必要クラウドAPI​(Claude Opus / GPT-5 / Gemini Ultra)
高頻度・軽量タスクローカルLLM
業務時間外バッチ処理クラウドAPIバッチ​(50%割引)
サブ秒応答要求ローカルLLM​(特に​CPU + 量子化)

ルーティング実装

3パターン:

  1. ルールベース:データ分類タグで​ルーティング​(簡単 / ​柔軟性低)
  2. 小型分類モデル:FastText / DistilBERT等で​機微判定 → ローカル / クラウド振り分け
  3. ゲートウェイ製品:LiteLLM / OpenRouter / Portkeyなどの​ルーティング製品を​活用

最初は​ルールベースで​開始、​運用ログが​溜まったら​分類モデル / ゲートウェイ製品に​進化。


データガバナンス観点

監査ログ

ローカルLLMは​ 入力 / 出力ログを自前で持つ。​これが​クラウドAPI​(特に​Enterprise契約の​ない​デフォルトAPI)に​対する​大きな​優位。

モデル更新ポリシー

オープンウェイトモデルは​数ヶ月単位で​メジャー更新が​出る。

セキュリティパッチ


FAQ

Q1. 日​本語性能が​​一番​​高い​​オープンウェイトは?

2026年8月時点で「これ」と言い切れる定説は無い。 モデルの​入れ替わりが​四半期単位で​起きており、​公開ベンチマークの​順位は​次の​更新で​入れ替わる​前提で​見るべきである。

日本語を​主目的に​開発された​選択肢と​しては、​国立情報学研究所の​ llm-jp-4-33b-thinking(Apache 2.0、​33B、​コンテキスト65,536)と、​Preferred Networksの​ PLaMo 3系(31B。​ただし商用利用は​事前登録が​必要で、​年商10億円超は​別途商用ライセンスが​必要)が​ある。​汎用モデル側では​ Qwen3.8-27B / Gemma 4 31B が​多言語で​安定している。

決め方は変わらない。自社業務の評価セット(500〜1,000サンプル)を作り、候補3つを実測する。 評価セットは​一度​作れば​次の​モデル更新でも​使い回せる。​ベンチマーク順位を​追うより、​自社の​評価セットを​持つことの​ほうが​長期的な​資産に​なる。

Q2. ライセンスで​​商用利用に​​注意すべきモデルは?

2026年8月時点で法務レビューを必須にすべきは独自ライセンスの3つである。

商用フリーで扱いやすい:Qwen3.8-27B / Gemma 4 31B / Muse Glimmer 30B / llm-jp-4-33b / Mistral-Small-4-119B / gpt-oss-120b​(いずれも​ Apache 2.0)、​DeepSeek-V4系 / GLM-5.2​(MIT)

ベンダー名でライセンスを推測しないこと。 同じ​提供元でも​モデルごとに​条件が​違う年に​なった。​な​お本記事の​ライセンス記述は​2026年8月26日時点の​公開条文に​基づく​確認結果であり、​法的助言ではない。​採用判断では​原文の​最新版を​確認し、​自社法務の​レビューを​通す​こと。

Q3. 推論基盤は​​vLLM一択か?

エンタープライズ本番は​vLLMが​現時点で​デファクトだが、​用途次第:

複数併用も​普通。​検証は​Ollama、​本番は​vLLM、​エッジは​llama.cppと​いう​ケースが​多い。

Q4. 何GPU必要か?

業務要件から​逆算する​:

冷却 / 電源 / ネットワーク機器を​含めると​上記の​1.5倍が​初期コスト目安。

Q5. セキュリティパッチは​​どう​​運用する?

3階層運用:

  1. OS / コンテナ:通常の​運用基盤と​同等​(月次パッチ / 緊急パッチ)
  2. 推論基盤(vLLM / TGI):GitHub Watchで​リリース追跡 / 月次パッチ
  3. モデル本体:四半期での​更新評価 / 重大バグは​ホットフィックス

国内DC環境では​適用に​承認プロセスが​必要。​SLAを​明確化しておく。

Q6. クラウドAPIより​​本当に​​安くなるか?

3〜5年TCOで​評価する。​月1億トークン以上を​24h 365日で​消費する​業務でないと、​自社オンプレが​安くなる​ことは​少ない。

それ未満なら 専用クラウドGPU(Together / Fireworks / Lambda Labs)またはMarketplace経由のホスティングモデル が​コストパフォーマンスで​勝る。

Q7. ハイブリッド設計で​​クラウド側は​​どう​​選ぶ?

3要素で評価:

機微情報は​ローカル、​高難度推論は​クラウドと​いう​役割分担が​定石。​両側で​モデルを​揃える​必要は​なく、​強み別に​使い分ける。


FDXの​​ローカルLLM導入支援

FDX株式会社は、Forward Deployed Engineer(FDE)+ プラットフォームエンジニアリング に​よって、​ローカルLLM導入を​支援する。

「クラウドAPIで​コストが​想定5倍」​「機微​データで​クラウド使えない」と​いう​典型課題に​対して、​ハイブリッド設計で​現実解を​提示する。

FDXに​ローカルLLM導入の​相談を​する​ →


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まとめ


出典・参考文献

モデルの​諸元​(パラメータ数・コンテキスト長・ライセンス)は、​以下の​公式モデルカードで​確認した​値を​記載している​(2026年8月26日確認)。


更新履歴

本記事は​モデルの​入れ替わりが​速い​領域を​扱う​ため、原則として月次でモデル一覧・ライセンス・GPU要件を見直している(最終更新日は​冒頭に​記載)。

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